商品・役務とは

1.商品及び役務の区分

商標登録出願にあたっては、商標を特定することはもちろんのこと、商品又は役務(サービス)を特定した上で行う必要があります。
なお、一つの商標登録出願において、商品と役務(サービス)の双方を特定することも可能です。
商標登録を受けるには、商標と、商品又は役務(サービス)とがペアとなっている必要があります。

商標登録出願において指定される商品又は役務(サービス)は指定商品又は指定役務といわれます。
日本においては、国際分類にしたがって、全ての商品および役務(サービス)は、45の区分に分類されております。
商標登録出願するにあたっては、指定商品又は指定役務に対応した区分を指定した上で、指定商品又は指定役務と共に願書に記載する必要があります。
一つの商標登録出願において、複数の区分を指定することも可能です。

例えば、第25類の「被服」と、第35類の「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、第45類の「ファッション情報の提供」とを一つの商標登録出願ですることが可能です。

2.商標権と商品及び役務との関係

商標権者は、原則として、登録商標と同一又は類似の商標を、指定商品と同一又は類似する商品(指定役務(サービス)と同一又は類似する役務)について独占排他的に使用することができます。
つまり、商標権は、指定商品と同一又は類似の商品(指定役務と同一又は類似の役務)の範囲において有効です。

例えば、「ABCD」という商標を第5類「薬剤」で商標登録したとします。この場合、「ABCD」という商標を「薬剤」について独占排他的に使用することできます。
しかし、第三者が「ABCD」を第3類の「化粧品」について使用した場合には、その行為を差し止めることはできません。「薬剤」と「化粧品」とは、互いに非類似の商品であるからです。

今日の社会生活において、例えば、「セーター」と「靴下」と「かばん」とが同じ店舗で販売されていることが多く見られますが、特許庁での審査においては形式的に「セーター」と「靴下」と「かばん」とは互いに類似しない商品として取り扱われております。
したがって、商標登録出願するにあたって、「セーター」だけでなく、「靴下」についても商標登録をしたいのであれば、第25類「被服,靴下」を指定しておく必要があります。なお、「被服」は「セーター」を含む上位概念です。もちろん「セーター」と記載しても問題ありません。
さらに、「かばん」についても商標登録したい場合には、第18類「かばん類」を指定しておく必要があります。

現在の商標法上では一つの商標登録出願で複数の区分を指定することが可能ですから、第18類「かばん類」および第25類「被服,靴下」の二区分を指定して商標登録出願をすることも可能です。
このように、複数の区分を一つの商標登録出願で行っておくと、一つの商標(ブランド)を一つの商標登録で一括して管理することができますので、その後の商標権の管理も行いやすいというメリットがあります。

一方、特許庁での審査は、商標登録出願を一つの単位として行うために、例えば、第18類「かばん類」については拒絶理由を発見しないが、第25類「被服」において拒絶理由を発見するような場合には、第25類「被服」にある拒絶理由が解消しない限り、18類「かばん類」についても一括して拒絶査定となってしまいます。

このような場合は、第18類「かばん類」を分割出願して第25類「被服」と切り離して独立の商標登録出願とするか、又は、第25類「被服」を指定商品から削除することによって、第18類「かばん類」について商標登録を受けることができます。

このような手続きは法律上の専門知識が必要となりますので、弁理士に相談するのがよいと思います。

3.商品とは

商標法では、「商品」に対して定義されていませんが、次のように考えられています。
(1)取引の対象となること
(2)流通性があること
(3)ある程度量産可能なもの
(4)有体物であること
(5)動産であること

取引の対象となること

商標は、自己の商品と、他人の商品又は役務(サービス)とを区別するための識別標識であるため、この商標を使用する商品は、取引の対象となっていることが必要です。
従いまして、例えば、宣伝用のマッチや、ちらしなどは宣伝媒体にすぎないので、商標法上、商品としては取り扱われません。

有価証券なども証券自体が取引されているわけではないので、商標法上、商品としては取り扱われません。

しかしながら、「有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理」は後述する役務として商標登録を受けることができます。

流通性があること

商標は、自己の商品と、他人の商品又は役務(サービス)とを区別するための識別標識であるため、この商標を使用する商品は、流通性を有している必要があります。
従いまして、自家用に供されるものは商標法上、商品としては取り扱われません。

例えば、趣味でトマトを栽培し、収穫したトマトを自宅で食する場合、このトマトは、商標法上、商品として扱われないでしょう。

ある程度量産可能であるもの

商標は、自己の商品と、他人の商品又は役務(サービス)とを区別するための識別標識であるため、この商標を使用する商品は、ある程度量産可能であることが必要です。
商標を保護する趣旨は、取引の場にて多数、供給される同質の商品から自己の商品を識別し、商標に化体した業務上の信用を保護することが目的です。

したがって、例えば、絵画や彫刻などの世界に一つしかないような一品製作物は、商標上、商品として取り扱われません。

一方、有名な絵画の複製物が今日でも市販されておりますが、このような複製物は、量産が可能ですから、商標法上の商品として取り扱われます。

有体物であること

「電気」、「熱」、「光」などの無体物であると、商標を付することができませんので、商標法上、商品として取り扱われません。

一方、天然ガスやヘリウムガスなどの気体であっても、容器に入れて販売すれば、一定の形状を有しており、容器に商標を付することができますので、商標法上、商品として取り扱われます。

動産であること

不動産は、商標を使用して流通にのせることができませんので、商標法上、商品として取り扱われません。

一方、組み立て家屋などは、土地に据え付けるまでは動産として移動させることができますので、商標法上、商品として取り扱われます。その他、地面に固定させて用いられるポールなども同様の取り扱いとなるでしょう。

4.役務(サービス)

役務(サービス)について用いられる商標は「サービスマーク」とも呼ばれます。
私たちは、レストランで食事をしたり、ホテルに泊まったり、電車に乗って移動したり、銀行にお金を預けたり(又は借りたり)、日常様々なサービスを受けています。
これらサービスの提供者は様々であり、レベルも色々です。それらを第三者の役務(サービス)から識別するためにあるのが、「サービスマーク」です。

>>商品及び役務の分類についてはこちらをご参照ください。

商標を保護する趣旨は、取引の場にて多数、供給される同質の商品又は役務(サービス)から自己の役務(サービス)を識別し、商標に化体した業務上の信用を保護することが目的です。

したがって、例えば、母親が子供に対して食事を用意するような家庭内での活動、社員に対して行なわれる社内研修活動などは、商標法上の役務(サービス)としては取り扱われません。

但し、社内研修であっても、第三者となる企業から依頼を受けてその会社のために金銭を受け取って、依頼を受けた会社のために研修を行う場合は、役務(サービス)として取り扱われます。

また、店舗で商品を購入したときに商品を包装紙で包むサービスは、付随的に行われるものですので商標法上、役務(サービス)としては取り扱われません。

このページの先頭へ